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動き回る翻訳者の運命的な(!)出会いを紹介します

映画「世界で一番ゴッホを描いた男」を初演で見てきた

全くゲンキンなものである。日々の生活では腰の重いこと岩のごとしなのだが、この映画を初演で見たいと思ったら、友達と予定を合わせもせず一人でダッシュで見に行ってしまった。


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この映画「世界で一番ゴッホを描いた男(原題中国梵高)」は中国深圳(セン)で20年来ゴッホのレプリカを描いている男の話である。そのレプリカは輸出され、本国オランダのアムステルダムで売られている。

舞台の深圳(セン)は、香港に近いからという理由で80年代に経済特区として、人工的に作られた特殊な都市である。私は90年代後半に数回行っただけだが、金の亡者が全国から集まっているという自分の偏見が裏切られることのなかった数少ない私の嫌いな都市だ。


主人公の趙は郷里から出てきて以来、真摯にプライドを持ってレプリカのゴッホを描き続けて来た。その彼の日常は厳しいとはいえ、ひとかどの工房を構え、子どもを学校に通わせられている。ふたむかし前の彼の生い立ちはビザの手続きで郷里に帰ったときに明かされる。そして意を決して憧れに憧れたゴッホの本物を見てアムステルダムを訪れ、直面した現実。彼は立ち位置を初めて知るのだ。

20年とはちょうど私が訪れた頃から今ということで、私にとっては「私が実際に見た時代」から「実際には見ていない現在」をつなぐストーリー。中国の庶民・老百姓を取り巻く変化や発展と変化しないものが描かれていた。

 

真面目でどんどん融通のない社会になっていく日本に住む我々から見ると、「中国ってなんでこうなの?」ということは、多々あるものだ。そういうとき、親しくなった中国人に突っ込むと「我跟你说啊…(いやあ、それはね…)」と教えてくれる。腹を割った話をしてくれるときの言葉だ。

「一体レプリカをこんなにたくさん描いている人ってどんな人なの?」「我跟你说啊…(いやあ、それはね…)」そんな映画なのだ。「血も涙もある人間が苦労して描いている。」ドキュメンタリーだから、結末をどう感じるかは人それぞれ。しかし過程で描かれている趙や彼を取り巻く人々に私はシンパシーを感じる。
映画館に趙の描くレプリカの本物(!)が飾られていた。映画で見る印象より出来がよく、さすが生業でやれていて映画の題材になるだけのことはあった…。

 

なんと、出口ではぴあの人に感想を聞かれた!。
そして、珍しくほぼリアルタイムにつぶやいてみた。。

[#世界で一番ゴッホを描いた男 見てきた〜。中国で懸命に生きてる老百姓に シンパシー感じたことある人にオススメ。 #新宿カリテ pic.twitter.com/bfzzRpHMOR

どうも、本日この映画について、つぶやいている人は少ないようだ。それもそのはず、私の見たところ大半の観客の年齢はツイッター層よりも高そう。では、この人たちは何で情報を得たのか?と、映画会社でも映画館の人でもないのに、興味がわいた。新聞かなテレビかな?

老若男女のヒューマンドラマの好きな皆様ぜひ見て!!! やっぱり、私はドキュメンタリーが好き。

chinas-van-goghs-movie.jp