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動き回る翻訳者の運命的な(!)出会いを紹介します

親愛なるマーサ・スチュアートさま Dear Martha Stewart

テレビのチャンネルを変えていたら、なんか見たことある外国人女性の料理番組!
おお、マーサ・スチュアートさま!

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遡ること十数年前、職場で産休入りの挨拶の際、「お休みの間、マーサ・スチュアートのような暮らしをしたいと思います」と言ったことをはっきり覚えている。

その当時、たまたま忙しい部署が特に忙しかった。職場は仲が良くて上司同僚と仕事帰りに食事に行くことがしょっちゅうだったが、産休前の仕事が一区切りついた打上げの日に、男女問わず和食の料理屋の座敷で皆疲れのあまり寝てしまったことが異常事態として印象に残っている。そんな中で、妊婦の私も疲労困憊だった。そもそも、仕事は全く男女の別なく面白くて夢中だったが、まだ会社で妊婦の人を見ることはほぼなかった。そういえば、そもそも女性が少なくて入社以来紅一点と言われることが多かったのも忘れていた。

妊娠中は忙しい上に、つわりもひどくて入院もしたし、そもそも私自身体力が弱かった。普通の人が大変だからといって、当時妊娠したら両立は大変だからと仕事を辞めるというのに、それでも続けるという体力的優位性は全くなかった。ただ仕事が好きなだけで。

妊婦のときの職場は私の異動した前後から女性が増え、先に年の近い先輩が妊婦になったが「お試し保育に連れて行ったら、子どもが泣くので、それを見るのが忍びない」と言って、退職してしまった。私は、妊娠したと知った数日後に保育園の見学に行き、子どもたちが送りに来たママが園を出る瞬間大泣きし、いなくなった瞬間に遊びに夢中になるのを目撃し、辞めなくていいのになと思った。

一方、産休育休生活は予想と異なり、全くマーサ・スチュアート的生活ではなくなってしまった。産休に入って10日もたたないうちに過労が原因で外出先で気を失って倒れ、大事故に遭ってしまったからだ。普通は母子ともに命がないところだったが、強運の私たちは生き延びることが出来た。

もともと、ワーカホリック的発想で会社を何カ月も休むなんてありえないことだったから、どんなに長くても半年ぐらいで復職しようと考えていたが、妊娠を報告した昔の上司が「せっかく会社が1年休む制度をつくってくれたんだから、1年は休んだらどう」と言ってくれたので1年休みを取っていた。実は、まだ制度が充分でなく1年も休んだ弊害は後から来たのだけれど、お陰様でその1年を自分の事故後の回復に充てることが出来た。復職後も含め、当時の上司先輩同僚家族お医者さん近所の助けてくれた人全ての周囲の人々に大変お世話になって今も本当に感謝している。

話は外れてしまったが、長期の入院や慣れない子育てで、全く主婦生活を楽しむ余裕もなく、あっという間に1年は過ぎ、早く自分の日常をを取り戻したいという気持ちで必死で復職し、その後も10年以上も同じ会社で大いに仕事を楽しんだ。

そして会社を辞めて2年、突然、心にひっかかっていたマーサ・スチュアートがテレビにあらわれて、本当に感慨深い気持ちになった。怒涛の生活がようやく落ち着きはじめた今私の前に現れるなんて、何かの啓示ではあるまいかと感じた。奇しくもマーサさまも90年代は飛ぶ鳥を落とす勢いのカリスマ主婦というアイドルだったが、今は色々大変なことがあった後の今である。今の方が親しみを感じる。

そんなことを考えながら、トランプ大統領並みのわかりやすい英語のマーサさまの料理番組を飽きることなく見続けていた今日の私であった。

www.marthastewart.com