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動き回る翻訳者の運命的な(!)出会いを紹介します

中国語 相原茂先生の講義を最前列で受けてきた!

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相原茂先生と言えば、90年代から2000年代にNHKのテレビラジオの中国語講座を担当されていた、長く中国語を学ぶものなら知らぬ者のいない大先生である。

10月20日(土)虎ノ門で先生の語彙に関する講演会が開かれると聞いて、真剣な気持ち半分・ミーハーな気持ち半分で参加した。

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講演会は、今や唯一の中国語学習雑誌となった「聴く中国語」誌主催で同社の会議室で行われた。席数はわずか20席。私はなんと最前列で拝聴することになった。

生でお会いした先生は大先生ながらあまりに気さくで一縷の気取りもなく、教養に満ち溢れる旧来の本物の文化人であり先生であった。皆さんは先刻承知で来られたのかもしれないが、私は先生を目の当たりにして、今の世の中がはったりや虚勢、我を張り合うばかりの人であふれ、あらゆることが薄っぺらであることを改めて自覚し、対照的な先生の深い知の世界に感動した。

先生のお話のイントロのつかみのお話に出てきた一言は、「中国語、発音よければ、半ばよし」この、五七五調が私たち世代にはノスタルジックなのだが、私たち中国語学習仲間では上級にさしかかった今、競って発音を磨き合っている。ぐっとつかまれた。

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今回の本題のテーマは「語彙を増やす5つの方法」であった。
その5つとは、
その1 類義語に敏感になる
その2 単音節の反義語
その3 逆引きの活用
その4 コロケーションに敏感になる
その5 語の内部構造を意識する
分かる人から見れば、こんな大事なことを公開してしまっていいのか、とういうことなのかもしれないが、その意図することは本質的で、少なくとも先生の深い知識による説明は全く再現できない。いうならば、本の目次のような感じだ。全く短絡的なハウツーとは異なった。

私は、こんな深い内容を二時間のダイジェストで聞くことが出来て、感動するとともに、先生の言葉に、ところどころ自分が大学生の時にも母校の教授の授業内容の断片がフラッシュバックした。ああ、大学生の頃、教授が楽しそうに搭配词典とか倒序词典等の話をされるのをぼんやり聞いて手にしてみたりしたが、全く何もわかっていなかった。

そして、なんだか無性に腹が立ってきた。深い知の蓄積である大学教授の講義を初心者の大学生だけに聞かせておくのはもったいなさすぎる。今でこそ、やっと意味がわかるのに!その上、毎年初心者を教えている大学の先生は初心者に優しいので、学びの進捗が遅いことを気にかけている中上級者にぴったり。今回の講義も初級者と上級者が一緒に聞いて一緒に学べる内容であった。

相原先生は、くすりとおかしみのあるユーモアをお持ちの方で、ひょうひょうとした面持のまま、講義の中にはなぞなぞが出てきたり、初級者が混同しやすい単語のニュアンスの違いをあえて会場の中国人スタッフに説明を求めたり、漢字を度忘れしたと書いてもらったり。講演後、熱心なファンの男性が先生ご本人にNHKの講座で先生のユーモアが大好きだったと熱い思いを語っていた。

先生は御年70才だそうで、依然ご活躍なのだとは思うが、最近は大人数の講義だとか講演はさほどされていないご様子だった。大変もったいないことだと思う。今時の70代はお若い。お元気なうちに、学生以外の後進にも貴重な知識をもっとおわけいただきたい。ぜひ、機会があるなら学生時代面倒に感じて真剣に勉強していなかった基礎の文法を、系統立てて先生に習ってみたいと思った。

ちなみに、次回の「聴く中国語」誌の講演会は、11月17日(土)に陳淑梅先生の講演だ。もちろん先に申し込んでチケットを確保してから、これを書いている(笑)

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