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動き回る翻訳者の運命的な(!)出会いを紹介します

憧れのグリーンスムージーの日々

「毎朝、手作りの野菜ジュースを飲んでいます。」と随分前から言ってみたかった。健康に気を使っていて、ちょっとまめでおしゃれな自分になってみたかったのだ。とっくの昔にジューサーも買い、ミキサーも買っていた。

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が、グリーンスムージーを本格的に始めたのは思い立ってから何年もたった先月からだ。自己流で以前やったジュースづくりは面倒くさかったから。


私の重い重い腰をあげてくれたのは、健康美あふれるアロマテラピスト、吉田真弓さんグリーンスムージーのクラスだ。吉田さんはグリーンスムージーを長年続けておられ、とっくの昔にダイエットも体質改善も果たされ、今はお肌はピカピカ、声もエネルギーに満ちあふれている。全く「イキイキ」という形容詞は吉田さんのためにあるようなもの。私も本当に今後先輩吉田さんのように年を重ねていきたいと思っているのだ。

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グリーンスムージーは毎日作るものであるから、作り方は難しくない。例えて言うなら、お米を炊く程度の難度で、スーパーで普通に買える葉物野菜とフルーツをポイポイとミキサーに放り込み、少量の水を加えて回すだけである。しかし、お米もなんとなく水加減や浸水時間で炊き方にうまい下手があるように、グリーンスムージーもミックスする野菜とフルーツの組み合わせのレシピ、そして水の加減、回す加減などにノウハウがあり、師匠につくってもらったもののほうがずっとおいしい。

でも、自分でやってみても、ただちぎってポイポイほりこんで回せば、添加物の多い市販の飲料とは全く異なる、自然な贅沢な味わいのスムージーが味わえる。(最初の一回だけは回しが足りなくて、野菜おろしになってしまったが。)ポイポイ・ガーッの過程は全くマメでない私でもなぜかいつもとても楽しい。そして、私の潜在欲望も発見!実は店にあふれる色々な果物を買ってみたかったのだ。

今日も月イチのクラスに、大人な参加者の皆さんと参加してきた。やっぱり、クラスでいただいたのは、自分では思いつかないオシャレな素材の組み合わせばかりで、フルーツの味が立っておいしかった。


なんせ、長年飲んだらこんなに元気になれるというモデルに教えてもらえるのだから、四の五の言わずにそのまんま言われたとおりにやればよく、迷いがない。そして、家族にも「早くスムージーつくってよ」と言われるのがうれしくて、スムージーは楽しい。

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中国語翻訳者が英語劇に出演してみた

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2019年2月23日(土)英語劇に出演した。演目は幸福な王子"The Happy Prince"、私はストーリーテラーのおばあさんの役だ。近年皆無だった緊張感を持ち、記憶能力を拡張して参加した。

中国語翻訳者の私が、英語劇に参加したのは、英日翻訳者も目指しているというのもあるが、きっかけはやはり中国語の音読サークル〈玲瓏りんろん〉で発音矯正にハマったことで、英語でもやってみたいと思ったからだ。

まあ、やってみるとリアルに頭の中が老婆で、セリフが頭に入らない。読んでも読んでも連なって出てこない。演出の先生に「日本語を介さずにシーンで英語で覚えるといいですよ」と言われ、シーンが頭に浮かんでも言葉が連なって出てこない。ああ、もう駄目だ、今週の練習で頭に入らなかったら、本番に間に合わないのではないか、とハラハラしてギリギリ二週間前に頭に入った。入ってしまえば、皿洗い中も、ランニングマシーンでも、電車の中でも、セリフの反復練習が心地よい。すっかり暗唱が楽しくなった。

練習期間は三カ月。初回の練習では皆さんこんな控えめな自己顕示欲で大丈夫かなと思ったが、回を重ねるごとに、一皮ずつむけて演技派に変身していった。一人本職の女優さんがいらして、セリフ覚えの速さと自由自在な演技でリードしてくれた。また、各メンバーも演出の先生が一回言ったことが全部修正される優秀な人たちであった。

皆忙しくて自主練のタイミングも合わず、最低限の練習回数であったが、本番では息もぴったり。私たち史上最高の演技となった。今回の英語劇のクラスは、大学生から私と同年輩の人まで幅広く均等にメンバーが分布、上も下もなく同じ立場で取り組むことができたのも新鮮で楽しかった。

そもそもの目的である発音に関しては、中国語にしても英語にしてもこの長い学習歴の中で、一通りの発音の注意は受けているわけで、それを少しでも真面目にやろうとすることで、何歳であっても上達の余地があるところが大いに魅力である。

遠くから中国語友達が、近くから娘が見に来てくれた。とっても嬉しかった、ありがとう。光がさんさんと差し込むスタジオのように晴れやかな日となった。

只今次のクラスの募集がかかっています~

tenro-in.com

翻訳者向けの新イベント ”i”translateに行ってきた

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翻訳者と翻訳会社の交流イベントと言えば、有名なのが「翻訳祭」。
しかし、新米翻訳者にとっては、いきなり学会か見本市に飛び込むようなもので、若干敷居が高い印象…。いやいや、私だって今年こそは参加しようと思っている。

そんな私が、今回2月13日の翻訳者向けの全くの新しいイベント”i”translateに参加した。このイベントは有志の6社もの翻訳会社さんと通訳翻訳向けのマーケティングコンサルタント カセツウの酒井さんが主催だという。プログラムは翻訳会社さんが一堂に会しての自社紹介プレゼンあり、翻訳者の事前に質問についてのグループディスカッションあり交流会ありだって。「こんなおいしいイベントなぜ行かん?」と思って参加した。

www.meetup.com

会場は渋谷のクラブ的なイベントもやってるパーティスペース!プレゼンがなんと後ろと両横の壁の三面に表示される(笑)迫力あって、カッコイイ。プレゼンする人にも実用的。そして、なんと動画で一部内容が中継され、実際私の海外在住の友人も同時視聴していた。イマドキ!

今回、まず、感じたことの収穫は、とっても参加者相互にオープンになれるイベントで踏み込んだ話が出来る・聞けるイベントであった。翻訳会社のほうから翻訳者に手を差し伸べたイベントであったことが印象的であったし、翻訳会社さんもこれぞと思った翻訳者を育成しようという気持ちをもってくれているんだ、社員でなくフリーであっても翻訳者さんの真価をちゃんと評価しようと思ってくれているんだ。という、翻訳会社さんに「あたりまえやん」と怒られそうな、私の疑心暗鬼を払拭できたことであった。

各社さんHPでしっかり、会社紹介されていても、それでも、話を聞いてはじめてしっくり理解できることもあった。それぞれ素晴らしいが、「えっ、そういうことやっているの、前職で翻訳したことあるわー」と、「私のこのスキル生きるかも」と思える社もあったし、会社は素晴らしくても、プレゼン聞いても個別に話しても、やっている領域・言語が全くかみ合わず、お互い苦笑いというケースもあって、もし、合わない会社に最初に応募していたら、レベルがダメなのかという勘違いをしていたかもしれない。

そして、「使える人材を充分に確保するのが難しい」とは、人材不足の今、業界を問わず言われることだと思うが翻訳業界もさもありなんらしい。かといって翻訳業界の使える人材の情報が充分開示されているとは言いがたい。進学・就職・転職…、最近の世の中は至れり尽くせりの合同イベントが存在するが、そういえば翻訳業界ではなかなか聞かない。使える人材が何なのかわからなければ、アピールもしづらいし、志望者もそちらの方向に成長しようという気にならない。よって、そういう人材が現れづらいのでは。逆回しにすれば好循環になりそう。

翻訳会社さんにお願いしていたクライアント側だったころは、翻訳会社さんもホスピタリティあるビジネスパーソンだと重々承知していたが、翻訳者になってみると、鋼鉄の扉の先の奥の院の存在であるような妄想を覚えてしまう。しかも、マイナス評価でトライアルはなかなか受からなくて門前払い、受かっても仕事が来るには時間がかかって…と不要な情報ばっかり耳に入ってくる。

そもそも、語学学校で超一流の先生のレベルを知ってしまい、かつ厳しい厳しい指導で、やってもやっても「私なんて」とチャレンジするメンタルはどんどん萎えがち。そして、翻訳者として家にこもってみると、会社員時代にまして飛び込み営業も難しく感じる…。ああ、なんて及び腰なんだろうか。めざす職業でメンタルも変化するのだ。

そんな私も、翻訳者としては新米でも社会人のビジネス経験やビジネス作文力はベテランのつもり。こういう会社に応募したいな、ここには私の売りはここかしらと、まさに就職活動のような気持ちを持てた。

感度の高い翻訳会社さんが、感度の高い翻訳者を求めているということで開催されたのだと思うが、交流することによって、お互い気持ちも開き双方の感度も上がるんだなと思った。今後も、また開催されるそう。次はあなたも参加されては?

中検終了!本日「私年度第1期」スタート


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昨日は中国語検定だった。今年も1級を受験。

会社員だったころは、新年・新しい期のスタート・下期のスタートなど、気持ちを新たにする機会が何度もあったが、会社員でなくなると、そのような区切り・けじめの機会がどうにも少なくなってしまう。そんな私が日々の生活に1つ区切りを感じられるのが、中国語検定試験である。今年はやっと6月に準1級に合格することが出来た。正直中国語の勉強を再開してからも、なかなか集中しきれず、準1級は合格までに何度か受験することになってしまった。

しかし、準1級合格など、1級への道のりでいえば、千里の道の一歩を踏み出したに過ぎず、求められる語彙量が全く違うので、ここからが本気を出さないといけない感じだ。実は1級も中検を意識し始めた2014年から今回含め多分3回ほど受験しているがパッとしない。でも、中検は今では勉強がどこまで進んだかのバロメーター、「健康診断のようなものだから、受けようよ」と勉強会の仲間に口走ったら、

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妙にウケて、今回の1級は仲間と6人で受験した。しかも、うち2人は外国から帰国しての受験‼

仲間とは、普段は勉強会などSNSやZOOMなどでの交流が主だが、受験後は横浜中華街で4人でオフ会を実施した。名古屋・和歌山で受験した友とは、レストランからZOOMやFBのライブで中継。日々毎日のようにメッセージのやりとりをして、バーチャルでありながらも結構な喜怒哀楽もあり、その友とリアルで会うのは感激もひとしおだった。

その会で今回10年の友のようなのにリアルでは初めてお会いした友から、本を送ったお礼にと365日の記録が出来る素敵なダイアリーをいただいた。今年の中検が終わって何か1年が終わったような昨日、新しい1年を記録するダイアリーをいただくとは、なんてグッドタイミング。本日、「そうだ、私の新年・新年度は今日からにしてしまおう!」と決めた。大体、人が決めた新年に合わそうとするから、続かなかったりするのだ。中国の春節だって西暦にすれば毎年相当中途半端な時期から始まる。

勉強の方は、友人の受験をあおっておいて、自分はテスト直前に勉強が失速してしまった。しかし、一夜漬けに前日眺めた単語集には、以前勉強した日付がメモしてあり、意外と頑張った過去の自分をほめたい気になった。来る1年もがんばって、また皆で健闘を讃えあったり、意地悪問題に歯噛みしたりしたいと思う。ちなみに来年の中検1級の試験日は第99回2019年11月24日である。

というわけで、私的にはもう新しい期を始めてしまったので、次はゆく年くる年的に先期の思い出を振り返って書きたいと思っている。

中国語 相原茂先生の講義を最前列で受けてきた!

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相原茂先生と言えば、90年代から2000年代にNHKのテレビラジオの中国語講座を担当されていた、長く中国語を学ぶものなら知らぬ者のいない大先生である。

10月20日(土)虎ノ門で先生の語彙に関する講演会が開かれると聞いて、真剣な気持ち半分・ミーハーな気持ち半分で参加した。

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講演会は、今や唯一の中国語学習雑誌となった「聴く中国語」誌主催で同社の会議室で行われた。席数はわずか20席。私はなんと最前列で拝聴することになった。

生でお会いした先生は大先生ながらあまりに気さくで一縷の気取りもなく、教養に満ち溢れる旧来の本物の文化人であり先生であった。皆さんは先刻承知で来られたのかもしれないが、私は先生を目の当たりにして、今の世の中がはったりや虚勢、我を張り合うばかりの人であふれ、あらゆることが薄っぺらであることを改めて自覚し、対照的な先生の深い知の世界に感動した。

先生のお話のイントロのつかみのお話に出てきた一言は、「中国語、発音よければ、半ばよし」この、五七五調が私たち世代にはノスタルジックなのだが、私たち中国語学習仲間では上級にさしかかった今、競って発音を磨き合っている。ぐっとつかまれた。

音読サークル〈 玲瓏りんろん 〉について | 働く人・働きたい人の中国語発音クリニック りんずラボ

 

今回の本題のテーマは「語彙を増やす5つの方法」であった。
その5つとは、
その1 類義語に敏感になる
その2 単音節の反義語
その3 逆引きの活用
その4 コロケーションに敏感になる
その5 語の内部構造を意識する
分かる人から見れば、こんな大事なことを公開してしまっていいのか、とういうことなのかもしれないが、その意図することは本質的で、少なくとも先生の深い知識による説明は全く再現できない。いうならば、本の目次のような感じだ。全く短絡的なハウツーとは異なった。

私は、こんな深い内容を二時間のダイジェストで聞くことが出来て、感動するとともに、先生の言葉に、ところどころ自分が大学生の時にも母校の教授の授業内容の断片がフラッシュバックした。ああ、大学生の頃、教授が楽しそうに搭配词典とか倒序词典等の話をされるのをぼんやり聞いて手にしてみたりしたが、全く何もわかっていなかった。

そして、なんだか無性に腹が立ってきた。深い知の蓄積である大学教授の講義を初心者の大学生だけに聞かせておくのはもったいなさすぎる。今でこそ、やっと意味がわかるのに!その上、毎年初心者を教えている大学の先生は初心者に優しいので、学びの進捗が遅いことを気にかけている中上級者にぴったり。今回の講義も初級者と上級者が一緒に聞いて一緒に学べる内容であった。

相原先生は、くすりとおかしみのあるユーモアをお持ちの方で、ひょうひょうとした面持のまま、講義の中にはなぞなぞが出てきたり、初級者が混同しやすい単語のニュアンスの違いをあえて会場の中国人スタッフに説明を求めたり、漢字を度忘れしたと書いてもらったり。講演後、熱心なファンの男性が先生ご本人にNHKの講座で先生のユーモアが大好きだったと熱い思いを語っていた。

先生は御年70才だそうで、依然ご活躍なのだとは思うが、最近は大人数の講義だとか講演はさほどされていないご様子だった。大変もったいないことだと思う。今時の70代はお若い。お元気なうちに、学生以外の後進にも貴重な知識をもっとおわけいただきたい。ぜひ、機会があるなら学生時代面倒に感じて真剣に勉強していなかった基礎の文法を、系統立てて先生に習ってみたいと思った。

ちなみに、次回の「聴く中国語」誌の講演会は、11月17日(土)に陳淑梅先生の講演だ。もちろん先に申し込んでチケットを確保してから、これを書いている(笑)

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改善の可能性があるんなら言ったほうがいいんじゃないの!

今日も料理の話。
優しい夫は何をつくっても黙って食べてくれるので、長年私は自分の料理のレベルが初中級で止まっていることに全く気が付きませんでした。


しかし、実母に代わり、家族のメインの食事の作り手となり、母の歯に衣着せぬ批評を聞くようになり、ようやく自分の料理レベルを自覚するようになりました。
そして、挙句の果てに長い会社員生活を終えることになったとき、母に唯一言われた一言は「料理ならったら?」「今ですか???」結婚前に言ってほしかった!自分は花嫁修業で土井勝先生に習ったことが持ちネタなのに、なぜ私には料理の必然性を説かなかった???

 

そんな料理センス皆無の私は、もちろん自分の感覚でレシピを応用して作ったりしません。基本、きちんとレシピの通り作ります。昨日は大ファンの土井善晴先生のレシピ通り、牡蠣シチューをつくったら、とても上手にできました。

www.kyounoryouri.jp

(牡蠣シチューのレシピは、きょうの料理の公式ページにアップされていなかったので、類似の作り方の「秋野菜のミルクシチュー」のレシピのリンクを貼りました。)

 

早速、娘に感想を聞いてみたところ、娘「きのこの種類を変えた方がいい気がする。」とのこと。そう来ましたか、栄養上きのこも食べさせたいなと思って、冷蔵庫のありあわせの「えのき」も突っ込んだのダメでしたか…。私「うるさいなあ。」(うまくできたのに、おいしいね、じゃないの?)

 

すると娘の次の一言は、

「なに、次のために、改善の可能性があるんなら言ったほうがいいんじゃないの!」

えっ、確かに、そのように教育いたしました。とても、我が家らしい言い方ですが、正面きってそのように正論を言われてみるとびっくりしてしまいました。娘、普段そんな難しいこと言わないし。
はい、今度は入れるならマイタケにします。

 

一番辛口の母には「これ、おいしい。」と久しぶりに褒められました。

心の準備がなくて珍しく写真撮らなかったな…。

親愛なるマーサ・スチュアートさま Dear Martha Stewart

テレビのチャンネルを変えていたら、なんか見たことある外国人女性の料理番組!
おお、マーサ・スチュアートさま!

dlife.disney.co.jp

遡ること十数年前、職場で産休入りの挨拶の際、「お休みの間、マーサ・スチュアートのような暮らしをしたいと思います」と言ったことをはっきり覚えている。

その当時、たまたま忙しい部署が特に忙しかった。職場は仲が良くて上司同僚と仕事帰りに食事に行くことがしょっちゅうだったが、産休前の仕事が一区切りついた打上げの日に、男女問わず和食の料理屋の座敷で皆疲れのあまり寝てしまったことが異常事態として印象に残っている。そんな中で、妊婦の私も疲労困憊だった。そもそも、仕事は全く男女の別なく面白くて夢中だったが、まだ会社で妊婦の人を見ることはほぼなかった。そういえば、そもそも女性が少なくて入社以来紅一点と言われることが多かったのも忘れていた。

妊娠中は忙しい上に、つわりもひどくて入院もしたし、そもそも私自身体力が弱かった。普通の人が大変だからといって、当時妊娠したら両立は大変だからと仕事を辞めるというのに、それでも続けるという体力的優位性は全くなかった。ただ仕事が好きなだけで。

妊婦のときの職場は私の異動した前後から女性が増え、先に年の近い先輩が妊婦になったが「お試し保育に連れて行ったら、子どもが泣くので、それを見るのが忍びない」と言って、退職してしまった。私は、妊娠したと知った数日後に保育園の見学に行き、子どもたちが送りに来たママが園を出る瞬間大泣きし、いなくなった瞬間に遊びに夢中になるのを目撃し、辞めなくていいのになと思った。

一方、産休育休生活は予想と異なり、全くマーサ・スチュアート的生活ではなくなってしまった。産休に入って10日もたたないうちに過労が原因で外出先で気を失って倒れ、大事故に遭ってしまったからだ。普通は母子ともに命がないところだったが、強運の私たちは生き延びることが出来た。

もともと、ワーカホリック的発想で会社を何カ月も休むなんてありえないことだったから、どんなに長くても半年ぐらいで復職しようと考えていたが、妊娠を報告した昔の上司が「せっかく会社が1年休む制度をつくってくれたんだから、1年は休んだらどう」と言ってくれたので1年休みを取っていた。実は、まだ制度が充分でなく1年も休んだ弊害は後から来たのだけれど、お陰様でその1年を自分の事故後の回復に充てることが出来た。復職後も含め、当時の上司先輩同僚家族お医者さん近所の助けてくれた人全ての周囲の人々に大変お世話になって今も本当に感謝している。

話は外れてしまったが、長期の入院や慣れない子育てで、全く主婦生活を楽しむ余裕もなく、あっという間に1年は過ぎ、早く自分の日常をを取り戻したいという気持ちで必死で復職し、その後も10年以上も同じ会社で大いに仕事を楽しんだ。

そして会社を辞めて2年、突然、心にひっかかっていたマーサ・スチュアートがテレビにあらわれて、本当に感慨深い気持ちになった。怒涛の生活がようやく落ち着きはじめた今私の前に現れるなんて、何かの啓示ではあるまいかと感じた。奇しくもマーサさまも90年代は飛ぶ鳥を落とす勢いのカリスマ主婦というアイドルだったが、今は色々大変なことがあった後の今である。今の方が親しみを感じる。

そんなことを考えながら、トランプ大統領並みのわかりやすい英語のマーサさまの料理番組を飽きることなく見続けていた今日の私であった。

www.marthastewart.com